Reckoning Night

SONATA ARCTICA

私をメタル界へ叩き込んだことで有名な(笑)、フィンランドが誇るメロディックスピードメタルバンド SONATA ARCTICA の4thアルバムです。
事前の情報では「疾走曲満載」ということで、大変に期待しておったのですが(確かに私は1stや2ndの路線も好きでしたが3rdも同等に好きです)、一聴して、、、冷や汗が流れかけましたよ。。。
本当、最初に聴いたときはめちゃくちゃ退屈なアルバムだと思いました。
1stから3rdまで強力なアルバムを作り続けててきた
SONATA ARCTICA が、4thにしてこんな駄作を作ってしまったのかと。
そんなことを考えつつ、でもやっぱりメタル界に入るきっかけになったバンドなわけで、そもそも
SONATA ARCTICA が駄作を作るなんてことはないって自分に言い聞かせるように、何度も何度もリピートしまくりました。
そしたら、、、「え!?これってめちゃんこ名作じゃん!!」と思うまでになった自分がいました(笑)。
いやいや、本当です。

#1 "Misplaced" は相変わらずの疾走チューンで、やっぱ良いですね、こういう曲♪
私は全然気になりませんでしたが、開始直後の無音時間が音飛びではないかと不安に思ったり疑ったりした人が多かったようですね。
マーキーのサイトでもこの件に関して書いてありましたね、音飛びではないって。
私としては、切れるタイミングも再開するタイミングもピッタリでかなり良いアレンジだと思ったのですが。
お約束の疾走チューンの後は、
SONATA ARCTICA らしからぬ感じのミドルチューン #2 "Blinded No More" です。
おそらく、この曲を気に入るか否かが、アルバム全体を気に入るか否かの大きな境目になるのではないかと思います、あくまでもおそらく。
少なくとも私は、
#2 "Blinded No More" を好きになったのとほぼ同時に本作自体も好きになったような気がします。
この曲は、本当、賛否両論分かれそうな気がします。
#2 "Blinded No More" の余韻に浸りつつ、狼の鳴き声(?)を合図に再度疾走を始める #3 "Ain't Your Fairytale"
Tony Kakko (Vo) は狼についての曲を書くのが好きらしいのですが、本作ではまさに #3 "Ain't Your Fairytale" がそれに当たるそうで。
決して悪い曲ではないのですがアルバム開始直後にしてはやはりどうしても微妙な感じが拭いきれないミドルチューン
#2 "Blinded No More" の後に素直に疾走されると、余計に気持ちが高鳴ってしょうがないです。
と、次は意外にもインストの
#4 "Reckoning Day, Reckoning Night..." です。
美しい調べの中に徐々に不穏な空気が漂い、そのまま
#5 "Don't Say A Word" へとなだれ込んでいきます。
#5 "Don't Say A Word" は、先行シングルになっただけのことはある魅力的な曲です。
こういう曲を聴いてると、何が疾走してて何が疾走してないのかが分からなくなってくるんですよね(笑)。
ちなみに
#5 "Don't Say A Word" は、、、疾走とまではいかないでしょうが決してミドルでもありません。
#6 "The Boy Who Wanted To Be A Real Puppet" は何となく印象薄です(汗)、そして #8 "Wildfire" も(汗)。
そんな2曲に挟まれた
#7 "My Selene" は、Jani Liimatainen (G) のペンによる強力な疾走曲です。
Tony Kakko によると Jani Liimatainen はプログレッシヴな曲を書くそうなのですが、#7 "My Selene" はいかにも SONATA ARCTICA らしい疾走曲なわけで、、、個人的には Tony Kakko にこれまでのようなスタイルで、願わくば疾走曲を多めに曲を書いてもらって、Jani Liimatainen には SONATA ARCTICA の可能性を広げるようなプログレッシヴな曲を書いてもらったら面白いかなぁなんて。
#9 "White Pearl, Black Oceans..." は、いろんな要素の詰まった9分にも及ぼうかとする長〜い曲です。
これまた、いろんな要素の詰まった長いだけのことはある強力な曲です。
そして、本編ラストとなる胸にしみるバラード、
#10 "Shamandalie"
この曲の終わり方があまりにも良すぎるので、ここで終わりといってほしかったのですが、、、日本盤ボーナストラックの
#11 "Wrecking The Sphere" があるんですわ。
本当、
#10 "Shamandalie" より前に配置してほしかったです。
ってか、根本的に、多くの人が書いていますが、曲順が微妙かと。
しかし、よくよく考えてみたら(ってほど考えてもいませんが(笑))結局この順番が最善のような気が、私はします。
何だかんだで、何となくストーリー性を感じるんですよ、この順番に。
しかし、でもやっぱり
#10 "Shamandalie" で終わってほしかったと…うーむ。
それと、隠しトラック扱いの
#12 "Jam"
こういうのも好きです、私♪
ただ、これは日本盤ボーナストラックではなくて欧州盤とかにも収録されいるはずなんですが、日本盤ボーナストラックであると誤解した人達が、日本盤ボーナストラックに曲にもなってないようなものを収録するとは何事か、みたいなことを書いて怒っているのを見ましたよ…。

っと、大好きな
SONATA ARCTICA のアルバムっちゅーことでえらく長々と書いてしまいましたな。
そして、もう少しだけお付き合いを(笑)!?

思えば3rdから、即効性が極端に低くなったものの、聴き込むほどにどんどん味が出るような感じに方向転換してますね。
1stや2ndのような即効性バリバリの方向性も好きでしたし、それがあったからこそ、今の私があるわけで。
しかし、現在の方向性もめちゃくちゃ好きですよ。
しかも、実際、3rdや本作を経験してから1stや2ndを聴くと、深みの無い勢い任せだけの一本調子のような感じすら受けます。
ただ、そんな感じを受けるとは書きつつ、1stや2ndの収録曲の中には、否応無しに気持ちを高ぶらされたり涙腺をゆるませられたりするものがあるのも事実です。
だから、ぶっちゃげ、以前の方向性と現在の方向性とで、どちらが良いとは、私は決められません。
しかし、私が様々なメタルのアルバムを聴く中で、「メタルを全然知らない人がこのアルバムを聴いてメタルの世界に足を踏み入れようと思うだろうか?このアルバムにはそれほどの魅力が詰まっているだろうか?」なーんてことをちこっと考えているのも事実で、私をメタル界に引きずり込んだ
SONATA ARCTICA のアルバムであるならなおさらそういったことを考えてしまうわけでして、そういった基準で考えるならば、当然、即効性のある1stや2ndに軍配を上げます。
ですが、そればかりが絶対的な評価基準ではでは絶対にないと、本作を聴いて、つくづくそう思いました。
確かに、
SONATA ARCTICA やましてメタルを知らない人にいきなり本作を聴かせようとは、私は思いません。
やはり、そういう場合には1stですよ!!
しかし、その後には確実に本作も薦めることでしょう。
なぜなら、1stや2ndでは感じられなかった世界が、そこには広がっているからです。
2004/10/20